• IPストレージ時代に必要とされるネットワークスイッチの要件(概要)

 
 
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本記事では、NASなどのIPストレージやビッグデータ基盤、そしてハイパーコンバージドインフラを支えるネットワークスイッチの技術的要件の概要を扱います。

現在、上述のシステムで原因不明なパフォーマンス劣化にお悩みであれば、原因の一つに中継するネットワークスイッチが考えられるかもしれません。そういった方々へのヒントとなる情報となっていますので、ぜひご覧ください。

 

はじめに

昨今、FC SANなどに代表される旧来のストレージ・ネットワークでは「投資を抑えながら自在にスケールアウトする」というこれからのITシステムの必須要件を満たすことが難しい為、それらの要件を満たすことが期待されるイーサネット・IPベースのストレージがその存在感を増し、利用領域が拡大してきています。

一方で、FC SANは上位レイヤ(TCPなど)の介入無しにストレージ・データをロスレスで伝送する仕組みを自ら備えていますが、この特長はイーサネットのみでは実現が出来ません。

従って、イーサネット・IPベースのストレージを支えるネットワークスイッチはこの欠点を補完する仕組みが必要となりますが、アリスタネットワークスは、これらを補い、データセンターで展開されるNAS、スケールアウト・ストレージ、イーサネット・IPベースのストレージを最適に支えるプラットフォームを多数取り揃えています。以下の項でそれらの仕組みを3つのポイントにして解説します。

 

IPストレージを支えるネットワークスイッチのポイント

元来、ストレージ・アプリケーションを主眼としたFC SANとは違い、そうした設計思想ではなかったイーサネット・IPの上でストレージトラフィックを伝送するにあたっては、以下の点を考慮する必要があります。

 

1) ロスレス伝送制御

イーサネットはベストエフォートのフレーム転送方式ですので、FC SANのようにクレジット方式であらかじめ受信側のバッファの空きを保証する仕組みがありません。

現在は、IEEE でDCBが標準化され、イーサネット上でロスレスの制御を実現する仕組みが整っています。アリスタネットワークスも多くのプラットフォームで本機能をサポートしております。詳細はこちらでご確認ください。

2) ディープパケットバッファ

ネットワークスイッチには、入力ポートから入ってきたトラフィックを出力ポートから送り出す前に、出力側に送出待ちが発生する場合に一時的に消費されるパケットバッファがあります。このバッファは有限のメモリ資源ですので、バッファの量が多ければ多いほど、出力側の送出待ちに耐えられるネットワークスイッチと言えます。パケットバッファの必要量は一般的に以下のような要因から決定されます。

イーサネット・IPベースのストレージの場合、インフラ上の単一のストレージへの集中アクセス、複数の分散ストレージから単一ホストへの戻り通信が頻繁に起こり得るため、スパイン・リーフ問わず、ネットワークスイッチのバッファが多く消費される傾向にあります。同じことがビッグデータ処理のShuffleフェーズのトラフィックパターンの場合にも当てはまります。以下の図に、特に注意が必要になる箇所をまとめます。

アリスタネットワークスは業界でも随一のパケットバッファを誇る7500Rシリーズをはじめ、多くのプラットフォームでイーサネット・IPベースのストレージを支えるディープバッファを備えたラインナップを準備しています。

3) VoQアーキテクチャ

ネットワークスイッチでのパケット転送に際して、Head of Line ブロッキングと呼ばれる問題があります。この問題により、特定の出力ポートの混雑により、その出力ポートとは関連のない入力トラフィックの転送にアンフェアな影響を及ぼしてしまいます。

この問題を克服するために必要となるのがVoQです。入力側で上述のディープパケットバッファを用い、入力ポートやトラフィッククラス及び宛先ポート毎に専用の仮想キューを準備し、ネットワークスイッチ内部でフェアでロスレスなトラフィック転送が可能となる仕組みです。

アリスタネットワークスでは、先述した7500Rシリーズをはじめ、VoQをサポートしたラインナップを豊富に準備しています。

 

ディープパケットバッファに関する誤解

パケットバッファにより、多くのトラフィックをドロップさせることなく一時的にスイッチ内部に滞留させることが可能となりますが、世の中にはこの点に関して「ディープバッファは有害」などの誤解を招く記事が見受けられます。そういった誤解に対しては、以下の点をご留意ください。

  • 10Gbpsの場合の50MBのバッファを活用した場合のエンドツーエンドの追加遅延は40ms程度
  • パケットバッファが浅いスイッチで、トラフィックバーストによってパケットがドロップしTCPがスローダウンする場合は、40ms遅延とは比較にならない悪影響が出る(TCPフロー全体での伝送遅延・帯域利用効率低下など)
  • パケットバッファリングの際にQOS機能を活用し、レイテンシーに敏感なアプリケーションを差別化・優遇し、上記遅延の影響を緩和することが可能
  • そもそも、通常のバーストが発生しないトラフィック転送においては、バッファが深いことと転送遅延は一切無関係である

まとめ

イーサネット・IPベースのストレージの導入が進むにつれ、様々な設計上の課題や運用上のトラブルシューティングが必要になってきます。”ストレージ”という上位のアプリケーション・レイヤーだけで捉えてしまうと、重要な構成要素であるネットワークインフラを見落としがちになり、ネットワークに起因する形で、本来想定していたパフォーマンスを発揮できない可能性も出てくるでしょう。

FC SANからイーサネット・IPベースのストレージに移行されて、FC SANと同等以上の品質で、それ以上の拡張性・経済性を手に入れたお客様も多くいらっしゃいます。このようなお客様へのご提案に際しては、設計の段階から本記事でご紹介した個々の技術要件を基に細心の検証・導入を進めて頂きご納得を頂いたからこそ、みなさまにご満足いただけるインフラをご提供できたと考えております。そういった日々の提案の中で蓄積した我々のノウハウをフル活用して、今後の皆様のイーサネット・IPベースのストレージ化のお手伝いをさせて頂きますので、お気軽にご相談ください。

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