• 放送・映像へのIP技術の適用(6)

 
 
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放送・映像システムへのIP技術の適用検討が本格化してきました。適用検討の本格化にともない、ユースケースを想定したテストも活発に行われるようになりました。こうしたテストは、机上では想定できない隠れた問題を抽出してくれます。これらの問題の解決により、IP導入のノウハウが蓄積され、IP技術の適用は益々加速するものと考えています。前回に続き、今回もPTPに着目し、そこに潜む注意点と解決方法を紹介していきます。

グランド・マスタ(GM)からの同期信号をスレーブとなる映像、音声機材に効率的に分配するため、ネットワークスイッチをBoundary Clock (BC)として利用するケースがあります。このケースで、BCが送信するPTPメッセージのSource IPアドレスを明示的に設定しないと同期ができないスレーブデバイスが散見されます。

なぜ、Source IPアドレスの指定がないと同期しないのか考えてみましょう。

Linuxベースのオペレーティングシステムをベースにした機器のIPスタックには、IPアドレスのスプーフィングによる攻撃を回避するために、リバースパス・フィルタリングが実装されているケースがあります。これは、Linuxカーネルのrp_filterの実装を利用して実現されているようです。Boundary Clock(BC)として起動しているスイッチは、GMからのPTP信号を終端します。GMに代わってSlaveデバイスにPTP信号を分配することになります。BCがレイヤ2スイッチで動作していてSVIが指定されない場合、送信されるPTPメッセージのSource IPアドレスは、0.0.0.0となります。(送信先:224.0.1.129, 送信元:0.0.0.0)

このPTPメッセージを受信したSlaveデバイスのIPスタックは、rp_filterによってこの類のパケット(source ip address: 0.0.0.0)をフィルタリングすることが考えられます。PTPメッセージがフィルタリングされるため、Slaveデバイスは、PTPメッセージを受信できず、Masterとなるスイッチと同期することができません。このような事象を回避するためには、ptp source ip でPTPメッセージのSource IPアドレスを指定することで回避します。Source IPアドレスを設定することで、PTPメッセージのSource にIPアドレスが含まれます。なお、設定するIPアドレスは、Slaveデバイスが所属するネットワーク内のアドレスを割り当てましょう。

7150-01(config)#ptp source ip 172.16.0.241

Source IPアドレス設定後のPTPメッセージを確認します。指定したIPアドレスがSourceに含まれていることが確認できます。

SlaveがBoundary Clock (BC)と同期できない場合、Slaveの設定確認と合わせて ptp source ip の設定を試してみましょう。

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